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2008年05月22日

トレードオフの概念の必要性

三菱東京UFJ銀行のシステム統合で発生したトラブルに関して、日経ビジネスオンラインで

「トレードオフの概念は日本にないのか」三菱東京UFJのシステム一本化報道に思う

という記事が22日公開されています。(記事全文を読むには無料の登録が必要です)

私も元システム屋なので、この大規模なプロジェクトの行方に興味を持っていましたが、「トラブル発生」のニュースにまたか!と思いながらも比較的限定的なトラブルでまぁよくやったのかな、との感想でした。

記事では、

  • トラブルをゼロにすることは基本的には不可能。
  • 今回発生したトラブルは、限定的で、すぐに復旧している。システム開発は成功と言っていい。
  • それに対するマスコミの反応には、問題があるのではないか。
  • トラブルを限りなくゼロにするためには膨大な費用がかかる。費用対効果のトレードオフの考え方が必要。

というような論旨です。この記事には、100件近いコメントが寄せられ、記事への同意と全くの反対と大きく2つに分かれた意見となっています。

元システム屋なのでバイアスがかかり、私は開発者側の肩を持ってしまいますが、

  • それほど大きくないシステムでも、他システムとの通信を伴うシステムは、テストに膨大な作業がかかる。
  • 信頼性を高めるために組み込んだシステムの冗長性は、さらにテストを膨大なものにする。
  • システムは開発する人間に依存する。人間に完全性を求めるのは無理だが、その人間が開発したシステムにも同じことが言える。

という特性があると思っているため、トラブルをなくすことは絶対できないと思っています。また、必然的にシステム屋は「トレードオフ」を考えます。有限の時間と人員と開発費からみて、どこまでテストしてOKとするか。厳しい選択をしているでしょう。ですから、システムトラブルで強烈な批判を浴びているプロジェクトを見ると、気の毒になります(トラブルの内容にもよりますが)。

トラブルをゼロに近づけるためには、膨大な費用と時間がかかる。(その費用は、利用者側に返ってくる)

だから、この程度のトラブルなら仕方がないな。このトラブルは許せない。という判断が必要ですね。マスコミにもその辺の判断基準をしっかりしてよ、と記事はいっており、私は基本的に賛成です。

また、この記事とコメントを見てうれしかったことは、

  • 皆真剣に考えて立派な意見をコメントしている。
  • 変な批判・炎上ではなく、議論の形になっている。

ということで、ネット文化のプラスの面を感じました。

システムには必ずトラブルがある。別のATMにいってお金がおろせるのなら、それは普通に受け入れて、話のネタにする程度にしておこう。私はそう思います。

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